2012年4月30日月曜日

4月29日
 家族で出かける。東京の西側を目指す。表参道へ東急プラザを見に行く。ゴールデンウィークだからか思ったほど混雑していない。中の展示は全然見られないまま最上階まで行き、それから順次降りていく。建物を見るのが目的だったが私には何の知識もないのでただ家族の講釈で横で聞いて頷いている。スターバックスのある階は外へ出るテラスがあり、ウッドデッキの下にさまざまの植物が植えられていた。壁が高くて外の景色が全然見えない。チョコレート色の高い壁が、何だか野暮ったくてあんまり良いもののように思えなかった。暑さと人に疲れて移動する。

 新橋へ行く。前から行ってみたかったニュー新橋ビルで昼食を摂る予定だったが、休みのせいかビルのほとんどの店が閉まっていて、やっているのは怪しげなマッサージ店でとても興味があったが、家族でぶらぶらするのに不適当なのでそそくさと出、西口の商店街か何かの通りにある安いうどん屋でやたらとコシのある太くて固い冷たいうどんを吸い込み、それからJRで浜松町へ行って隅田川ラインの乗り場である日の出桟橋を目指して歩く。歩く途中で、ああ、これは過去に恋人と通った道だと思い出す。あのときは浅草で恋人の祭り用品の買い物に付き合い、珍しく観光などして、そうだ、建設途中のスカイツリーを見ながら観光船で隅田川をくだろうと話し、外国人観光客でひしめく平たい船に乗り込んで潮の匂いをかぎながら揺られていた。日の出桟橋に着いて、なんだか西日の陽射しに照らされて疲れはて、とぼとぼと浜松町まで頭上の首都高速を意識しながら歩いた。ああ、これはあのときのルートを逆に行っていると思った。思ったことはそれだけで、それ以上何の感慨もなかった。

 新橋は何をしているか分からないおじさんが多い。借金取りバッグを片手に携帯電話で韓国語と思しき言葉でやりとりをしている人を見、なんだかここが好きだと思った。ニュー新橋ビルはおじさん向けの中野ブロードウェイという感じで、もしかしたら今も中野に住んでいるだろう弟のような男の子のことを思い出した。

 わけも分からず人恋しくなっている。ちょっとでも好みの顔を見かけると、次は頭のなかで自分がその人に顔を近づけている場面が思い浮かぶ。発情期か。なんでもいい。誰でも良い。我を忘れて従いたい。征服されたい。やっぱり宗教に入ろうかなと思う。でも私はまともだからきっと、我を忘れられないのだろうなと思う。全然写真を撮っていないので、何にもないつまらない戯れ言で終わる。